2008年12月14日日曜日

HONEY-HONEYMOON   東 いづみ

HONEY-HONEYMOON

ロベルトと地図の上で手を合わせる。
グリーンに塗りつぶされた広いところで指が重なり、
オレンジ色を示す手を追いかけると、とんとんと軽くたたかれる。
爪までも最上級品。

 

バオバブ

ぽおんと空に息を投げあげる。
なごむ天気の青く、また白い日。
のどかなとちに人はいなくて。
彼もまた、体を失う。

 

セアラの家の風呂場にいるぼくは窓から台所のエドナを見ている

エドナはぼくの窓ごしの友達。新妻の暖かみと少女らしいあどけ
なさを兼ね備えている、驚くほど美しい女性だ。彼女はオレンジ
を投げてくれる。そうしたら、彼女とぼくの間にオレンジの香り
の橋ができる。手をつなぐより、はるかに優しいつながりだよ。

 

≪恐怖の報酬≫は…

今は爺さんになっている男が、若者の特徴をめいっぱい目立たせ、ブラウン管のむこうでいきがってみせる。
果物の缶詰を開けた男がテレビの角っこを殴りつけては、白と黒のちらつくカビを熱心に眺めてる。
「古いものほどいいんだ。」 彼はうなずく。
「そうさな。」 同居人はポーク&ビーンズで遅い昼食をとりながら、うなずく。
画面にぐいぐい引きつけられ、それども頭のどこかははっきり分かっていて、永久にうなずきつづける。汗くさい男たちが、二時間後には髭を剃りはじめるだろう。
『たとえ死んでも、見苦しい姿は見せたくない。』 映画のせりふをまね、真新しいスーツをまとって、トタンのすみかにおさらばだ。

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