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2008年12月15日月曜日

心象風景

いちめんの青に
ぽつんと浮かんだ
白いかたまり

もやもやとしながら
とがったり
もくもくとなって
ふくれたり
丸くなるのもいいかな

時間が経てば
形も色も変わるのは
自然なことで
それが普通だと分かっているはずなのに

普通って なに?

オレンジに染まる空を見ていたら
泣きたくなったので
急いで家に帰ることにした

 

   2002/9/14 ポエトリーリーディングの夕べ(テーマ:オレンジ)

2008年12月14日日曜日

携帯

どうやら、マナーが悪いのは子どもばかりじゃないようだ
電車の中でも、歩きながらでも、大きな声を出しているのは
おじさんやおばさんだったりする
近くにいる人のことなど気にせず、すっかり自分の世界に入っている

小さな子どもに買い与えている親の気持ちは分からないでもない
使う姿が微笑ましくも思える
かなりの高齢の人が持っていると、驚きと共に感心もする
うちの親は使えるのだろうか

公衆トイレの個室は、最近の流行の場所らしい
用を足しているのかどうかは分からないけど、声だけはずっと聞こえ続けてくる
一人で居られる空間がいいらしい
そういえば、電話ボックスにこもっている人もいた

もちろん、持たない派の人もたくさんいる
ぼくもそのうちの一人だ
でも、そろそろ買ってみようかと思っている
見つかるかな、お気に入りの携帯マイク

 

   2002/8/10 ポエトリーリーディングの夕べ(テーマ:マイク)

ノン・アルコール

環状線を2回まわって
3時半の位置で降りたとき
既に飛行機は大気圏を突破していた

しかたなくタクシーを止め
「前の車を追って」と告げると
動物園の前で降ろされた

ライオンは寝ていて
ペンギンは日焼け止めを塗っていて
ワニは入れ歯を探していた

そういえば歯が痛かったことを思い出し
歯医者を探していると
檻に入れられたウルトラマンを見つけた

怪獣と恐竜の区別が付かないまま
案内板の矢印にそって進んでいくと
何もない部屋があった

しばらく横になっていると
飼育係のおじさんが
「酔っぱらい」という看板を立てていった

 

   2002/7/13 ポエトリーリーディングの夕べ(テーマ:お酒)

イス

雨の降り始めた公園の片隅に
粗大ゴミと一緒に
小さなイスが捨てられていた

あまりにも可愛かったので
ぼくはイスを部屋に持ち帰り
風呂場できれいに洗ってやると
ますます可愛く思えて
名前を付けることにした

ソフィはぼくのお気に入りで
ソフィもぼくを気に入ってくれているようだ
名前を呼びかけると
じっとぼくを見つめる
ときどき
散歩に連れて出たくなるのだが
あまり好きじゃないようだ

ついうっかりと
ソフィを蹴飛ばしてしまうこともあるのだけど
大抵はぼくが足の小指を痛める
丈夫だと思っていたソフィが
前足を怪我してるのを見つけたときは
少しショックだった
ぼくは丁寧に治療をした

相変わらず
ぼくはソフィが好きで
ソフィもたぶん、ぼくが好きなんだろう

でも
ソフィがおすわりをしているところに
ぼくが座ってしまったとき
案外しっくりとしたのには驚いた

 

   2002/6/8 ポエトリーリーディングの夕べ(テーマ:椅子に座る)

くそったれ

くそったれ!

くそを垂れるなら便器にしな
汚すなよ
ぴかぴかに磨いたとこなんだから
どうだい?
ウォシュレットも付いてるんだぜ
それも新製品
省エネ対応なんだ
エコロジーっていうやつだな
それに洗浄水量もおさえてるんだ
でもこんなにきれい
汚れが付きにくいんだ
すごいだろ
なんでもきれいに流してくれる
不平も
不満も
ごたごたも
王様の耳も
ろばの耳も

ユアン・マクレガーだってこんなにすっきり
使い心地は抜群だぜ
どう?
使ってみるかい
便座も温かいし
抗菌仕様
落ち着くだろ
この空間がいいんだよね
全部吐き出せる
言いたいことは言えたかい
もう残ってるものはないかい
すべて流すよ

はぁぁ、すっきりした!

 

   2002/5/11 ポエトリーリーディングの夕べ(テーマ:便器)

みどる

街を
緑色に染めたくて
みどる

呟いてみる

都会には緑が少ない と
おばあちゃんが言ってた

焼け崩れた大阪平野の真ん中に
残っていたのは 一本の桜の木 だけ
非常事態の中で
桜の木に 意味なんて無かったのだろうけど
それを守った人がいた

飢えをしのぐために
木の根っこでも口にしたいのに
罵倒されても
唾を吐きかけられても
それを守った

冬枯れた時間は そう長くはなかった
若葉は温かさを取り戻し
桜の花びらは笑顔を運んだ

ただ その人は 花を見ることはなかった

街を
緑色に染めたくて
みどる

叫んだ

 

   2002/4/13 ポエトリーリーディングの夕べ(テーマ:ミドル)

何らいつもと変わりもしない朝

気象学では3月からを春というと
テレビが伝えていた
4月末には雪もなくなるらしい

何らいつもと変わりもしない朝

昨日もまた、3万5615人の子どもたちが飢餓で死んだ
その記事を探そうと新聞をめくったが
どこにも見あたらない
あるのは家と車のことばかり

何らいつもと変わりもしない朝

自由と銃を手にすることもなく
螺旋構造の平和によって殺されたのは
君だけじゃなかったようだ

何らいつもと変わりもしない朝

あとで電話するよ

 

   2002/3/9 ポエトリーリーディングの夕べ(テーマ:2月28日のこと)

ヴァラナシにて

青空は嘘を付かない。

タージ・ガンジスを出たとたんに、リキシャーが集まってきた。
ホテルの周辺を歩くだけのつもりだったので断ったが、しつこく付いてきたので、逃げるつもりで公園のような広場へと入っていった。
公園だと思っていた場所は学校で、そこでは子供たちがクリケットをしていた。
試合をゆっくりと観戦しようと思っていたが、子供たちに囲まれ質問責めにあった。
「何処から来たの?」「何処へ行くの?」「この国のことをどう思う?」といったようなことを、片言の英語で会話した。
「クリケットを観たい」と言うと、すぐに試合を始めてくれた。
少しすると中断し、「一緒にしよう」とラケットを渡された。
ルールは分からなかった。

祈りも、罪も、失われた命も、流れる。
太陽までもが、水面を流れていく。

ボールは野手の頭上を越えていった。
子どもたちの歓声が湧いた。
ベースがあるわけじゃないから、どこを走っていいのか分からず、ただ言われるままに身体を動かした。
野球しか知らないぼくだが、どうやら活躍してるようだった。

汗が大地へと帰っていく。

結局、何点取ったのかは分からなかったけど、僕たちのチームが勝った。
彼らの寮に招待を受けた。

子どもたちの笑顔は、嘘じゃない。

 

   2002/2/9 ポエトリーリーディングの夕べ(テーマ:旅)

くわい

冷たい雨が頬を打つ 京都は哲学の道で
握りしめていた掌の中の くわいが転がる

少し嘘を付きました
ひとりでいるのは 楽なんだからじゃありません
少し嘘を付きました
寄り道したわけでもないんです

地図を見ていたぼくに 声をかけてくれたお巡りさんは
たぶん ぼくより若いのだろうけど
子供に道を教えるのと同じように ていねいに 丁寧に説明してくれた
もう一度その場所を通ったときには お巡りさんはいませんでした
掌の中で くわいが転がる

少し嘘を付きました
行きたい場所はそこじゃなかったんです
少し嘘を付きました
バスに乗る気分でもなかったんです

まだ日が落ちるのが早いこの街に
暖かい風は吹きません
ただ冷たい月が見ているだけで
夜明けにはまだまだ時間があるようです
月はチーズで出来てると 誰かが言ってたけど
ぼくには確認することなんて出来ません
どちらかといえば
まだキャベツのほうが似合ってると思うんです

頬を打つ雨は冷たくて
ぼくのポケットの中で くわいが転がる
闇を裂く月は冷たくて
ぼくのポケットの中の くわいが転がる

 

   2002/2/3 「詩の時間」シタゴコロプロジェクト@ワークショップ

chocolate

お気に入りのショップまで歩いて5分
映画館なら歩いて10分
好きなものが周りにあるから それがいい
ひとり暮らしも不便とは思わない

遅くまで飲んでも気にしなくていい
終電なんて関係ないから
どこにいても歩いて帰れる それがいい
真夜中のコンビニは素敵なものだ

チョコレートの食べ過ぎに気をつけろ
はかない快楽とたしかな快楽
「今さえよければ」と言う君の台詞は もう聞きあきたんだ
何も考えていない姿が浮かぶから これ以上なにも言わないで


快適な部屋と便利な街が素敵
たとえ真夏の空を温めても
変わることのないライフスタイル エピキュリアン
快楽の損得勘定をする

チョコレートの食べ過ぎに気をつけろ
はかない快楽とたしかな快楽
「今さえよければ」と言う君の台詞は もう聞きあきたんだ
何も考えていない姿が浮かぶから これ以上なにも言わないで

チョコレートの食べ過ぎに気をつけろ
はかない快楽とたしかな快楽
「今さえよければ」と言う君の台詞は もう聞きあきたんだ
何も考えていない姿が浮かぶから これ以上なにも言わないで

 

   2002/1/6 「詩の時間」シタゴコロプロジェクト@ワークショップ
          (テーマ:歌詞を書く)

クリスマス

灰色に煙る街は
涙に溢れている
身を守るすべを知らない
子どもたちは
大人たちに
大人たちは
世界に
世界は
時代に
時代は
人に

もし 一輪の花を咲かせることができたら

地平線の彼方の空は晴れている
悪夢はいつか終わる
止まない雨はない
リンゴは必ず落ちる

もし 一輪の花を咲かせることができたら

澱んだ水に
足を取られても
汚れた世界で
生きることに切なくなっても

花を咲かせてみよう

歌が歌えるなら 歌を歌おう
絵が描けるなら 絵を描こう
ことばを綴れるなら ことばを綴ろう

花を咲かせてみよう

きっと誰かが
振り向いてくれるから

 

   2001/12/9 シタゴコロプロジェクト@ワークショップ

ようこ

「いま、こんな気持ち」
と言って君は紙を差し出した。
そこには
「やまもとようこ」
と彼女の名前が書かれていた。

いまの彼女の気持ちは
「やまもとようこ」らしい。
ひらがなで。

「ようこ」といえば
陽子、洋子、容子、要子、庸子、葉子、蓉子
があるが、
ぼくの知っている「ようこ」は
陽子が5人、洋子が3人、容子が2人、葉子が1人。
要子と、庸子と、蓉子は知らない。
あ、容子のうちのひとりは蓉子だったかもしれない。

「ようこ」のほとんどはどこか冷たい空気を持っていた。
太陽の陽子は名前に反して特に冷たかった。
隣にいても、いつも距離を感じていた。
大洋の洋子は確かに深かった。
でも、それだけだった。
大要の要子はまだめぐり会っていない。
大葉の・・・、葉子は忘れた。

幼なじみの陽子は実家に帰ってきたらしい。
学生の頃仲の良かった洋子と容子からは年賀状だけは来る。
陽子は「だれにでも優しいのね」と言って去って行った。
洋子は家から出なくなった。
容子のウエディング・パーティに出た。
洋子とは大阪式詩のボクシングを見に行った。
陽子のことばが届けられた。
「付き合って良かったと思えたのは、あなただけ」
そんなこと、
ほかのやつと結婚してから言わないで欲しい。


「やまもとようこ」はどの「ようこ」だったかなあ。

 

   2001/12/8 ポエトリーリーディングの夕べ(テーマ:文字)

手紙

拝啓 コーネリアス様

日を追うごとにめっきりと冷え込み、世間の風が冷たく感じられる時代となりました。
天気予報では、例年より冷え込みは激しく、失業率も6%を大きく超えると伝えています。
どうやらこの辺りにも白い粉が降ってきたようで、まだまだ寒くなりそうです。

あなたが見たニューヨークは、確か砂に埋もれていましたね。今のニューヨークもさほど変わりません。
テレビではニュースがヒロイズムになっていて、それをながめていた人が
「ああ、今のでひとが死んだかも知れないね
 今のでもう二度と
 母親と会えなくなってしまった子供がいるかも知れない」*
と、つぶやいていました。

アユムは元気ですか?
親の行動をくり返しくり返しくり返し見ていて、そろそろ真似をはじめる頃ですか。
でも、真似ばかりじゃダメだってことも、ちゃんと教えてくださいね。
鏡に映った自分に興味を持っても仕方がないんですから。
そういえば、鏡を磨いてる人って、たくさんいますね。
見せ方より、見られ方が気になるんでしょうね。

ぼくの友人に韓国からの留学生がいます。
彼は、召集がかかれば戦場に行かなければなりません。そしてそれを「義務」だと言います。
死んだって犬より低い保証しかなく、遺族に支払われる金額ではCD1枚が買えればいいほうです。
「戦争に行きたくない」とぼくにも言うことはできますが、彼が発したときとでは、重さが全然違うと感じました。

何だか取り留めもない話になってしまいました。
戦争のことではジョンも泣いていました。
彼にも、今度手紙を書きたいと思っています。
それはまた別の機会に。

追伸
そろそろ進化というものを止めたほうがいいと思いませんか?



          *括弧内「鼻毛温泉」矢板進

 

   2001/11/10 ポエトリーリーディングの夕べ(テーマ:猿)

リスペクト

素人純情娘113号東淀川区向かいます/今度こその マニュアル台詞を/3度アタマのなかでくりかえし/時速115キロであなたのもとへとはしりゆく
(「眠眠のあかい餃子が届けられる日。餃の字は読めるがときどき書けない」上田假奈代)

帰化したサマンサ。帰化したサマンサが秋刀魚焼くゴールデンタイム。サマンサの垂直な鼻を煙が立ちのぼる。いかしたサマンサ。帰化したんだから秋刀魚くらゐ焼いてもいいぢやないつて、それはいいけど、サマンサ。動かない鼻。
     (「サマンサ」魚村晋太郎)

「あ~、ミックが抱いた女を抱けるなんて・・・あ~、すばらしいねえ。なんて幸せものなんだぼくは!」「はやく入れてぇ」「うん、入れるぞぉ~」「私はあなたの妻なんだから、毎日毎日“ミック・ヴァギナ”を楽しめるのよ!」「そうだな。うれしい限りだ。ありがとう。おおっと~、あ~、出そうだ、イクイクイク!」
     (「ミック・ヴァギナ」尾ヶ崎整)

南トイ族は家族ごとに言葉が違う。同じ家族なら言葉は通じる(子供が独自の言葉を作って親が分からないこともある)が、はや、おむかいさんとの朝の挨拶も大変。「ナイカホア」と片方がいうと「ομαεηκτψ」という調子で端から見ているとまるで噛み合わっていない。
     (「トイ族」まつおかずひろ)

だから/とおくの戦争ぼっぱつを/TVでながめながら/いつまでもぬるま湯に浸かっていたい/ぬるま湯にのびてしまいながら/大砲が放つあおいひかりにいちいち目覚めていたい/ああ、今のでひとが死んだかも知れないね/今のでもう二度と/母親に会えなくなってしまった子供がいるかも知れない
     (「鼻毛温泉」矢板進)

女は僕の出臍を奥歯でかじりとる/笑っている/共食いと謂うからには/喰われてばかりはいられぬ/僕は女の凹んだ乳首に前歯を差し込む/笑ってみる
     (「共食い」キムイルボン)

父が宇宙人であるという仮説、証拠はいくらでも作れる、緑を青というところや、煙草の煙を紫というところとか
     (「スモーク」ラジオ・デイズ)

ありがとうがいえない/サンキューとかグラシアスは言えても、ありがとうが言えない
     (杉山勇樹)

君とあって好きなものとかふえたんだたとえばミスドのドーナツだとか
     (かみやひろし)

さかみちにおいたからっぽのペットボトルはしだいにころがりはじめ、わたしはこわれたテレビからでてきた天使にであう
     (荒木時彦)

マイナス五度の体温みたい/あたくしが殺してあげる/足下のタイルは血の海で/深海魚はもう居ないわ
     (「マイナス五度」有邑廃童)

阪急仁川駅に向かう川沿いの道で/ボブ・マーリーを彷彿させる/ドレッドヘアーの黒い犬とすれ違ったんだ/俺の脳味噌は飼い主のねーちゃんのビキニ姿と/新規事業を発明したぜニュートン
      (「和菓子職人ブルース」しげかねとおる)

浜辺、かしら。/浅い、浅すぎる。/そう、/もっと深く/もっと浅く/もっと深く/もっと浅く/来そうですか、/もっと深く、/もっと浅く、
     (「浜辺かしら」平居謙)

干からびた無花果を口に含み噛みながら/目を閉じて考えるあたしの/背骨が軋んで飢えた音をたてる
     (「放送無線電話」タケイリエ)


     ふわふわ と
     ころころ して
     さらさら いって
     ひらひら みたいに
     ぱらぱら かんじても
     ぽつぽつ かんがえても
     ごろごろ もうそうしても
     どきどき ゆめをみていたい

     もう少し止まってみよう
          (「風の中で」辻本真孝)


優しく ゆっくりと時間を重ね/罪を重ね/戻れない長い道を それぞれの足で/勇ましく歩いてゆく
     (豊原エス)

はい。ボクは死産です/死んでいるのに 生まれてきました/やったぁ!!/ボクは生まれてきましたよ/死んだままで ようこそ! いらっしゃい!/迎えてくれて ありがとう
     (「やったぁ! ボクは生まれてきましたよ」佐原裕美)

とうとう二人は粘着カップルになった
     (森下あさ子)


     「あなたは何?」と言って、今度は大きく開いた口から舌をペロリと出した。
           (「詩人の休日」辻本真孝)

 

   2001/10/13 ポエトリーリーディングの夕べ(テーマ:名刺)

リスペクト-side B

90%着物、金髪、サングラスの上田假奈代は、優しい声が美しい。
サンマ焼くサマンサをさらし続ける魚村晋太郎は、ことば使いの魔術師だ。
キティちゃんを持たない尾ヶ崎整は、尾ヶ崎整であり得るのだろうか。
もっと叫んでくれ。
ぼくはまつおかずひろほど、ことばをあいしていないのかもしれない。

矢板進、キム・イルボン、2人の声は裸体とともに美しい。
ラジオデイズのポエジーは既に詩を超えている。
奇異な絵を描く杉山勇樹の詩はストレートに届く。
かみやひろしのちいさなねがいは、ぼくのおおきなねがいだ。

TOKIの声は女だけでなく男をも魅了する。
有邑廃童のことばは、ときどきナイフのように鋭くなる。
ファッションだけで詩を読むなら東京にまかせておけ、
しげかねとおるは関西のソウルを知っている。
平居謙は「楽園」が歌えるのだろうか。
タケイリエは矢井田瞳に似ている。

長澤忍は文学的難解思考の詩人だ。
あいしてる、あいしてる、あいしてる、とささやく
琴生結希は軟体思考の詩人だ。
さいとういんこが放った弾丸は
カワグチタケシ、ますだいっこうを貫いた。
マシンガン dadadadadada

豊原エスはアンチテーゼなのか。
佐原裕美、森下あさ子、もっと突っ走ってくれ。
自分で作った詩で泣くバカはそういないけど、
辻本真孝はそんな大バカ野郎だ。

以上、敬称略。

     *THE BOOM「敬称略」を参照して作った詩です。

 

   2001/9/23 アヴァンセリーディング会

まきこむまきこむ

おはよう
大きな声で 元気をまきこむ
ニコニコ笑顔で ハッピーをまきこむ

いってきます
空が青いから お日さまもまきこんで
ポカポカするから 北風もまきこんで

いただきます
お腹が空いてるから
レタスにハムをまきこんで
パンにチーズをまきこんで
ひとりじゃ ちっとも楽しくないから
友だちたくさんまきこんで
またその友だちも まきこんで
ごちそうさま

ちょっぴり うとうと うとうと
お昼の夢を ちょっとまきこむ
あなたもいっしょに まきこむ
あったかい手を まきこむ
小さなからだを まきこむ
おかあさん まきこむ
おとうさん まきこむ
みんな まきこむ

ねえねえ まきこんだ?
ねえねえ まきこむ?

うとうと うとうと
あれっ?
暗くなる前に帰らないと

夕焼けを まきこんで
お星さまも まきこんで
お月さまもニッコリ まきこんで
みんなみんな
みんなみんな

バイバイ!

 

   2001/9/8 ポエトリーリーディングの夕べ(テーマ:巻き込む/20字40行以内)

山の詩(うた) 北岳山頂にて

何故 山に登るのか と、登りながら考える。
以前に また登りたい と、思ったから。
どうして そう思ったか というのは、
やはり 登ってみないと わからないのか。

緑の山と
青い空と
白い雲と
言葉では言い表せない
冷たい風と
甘い空気と
小鳥の声と
写真では伝えきれない

一度は登ってみるものだ

天気がいいことに限るけど

 

時速かたつむりで歩く
時速200mで 等高線を垂直に登る

ときどき
赤や 黄色や 紫や 白や ピンクや 青色の花に
目を奪われる

ときどき 遠くに見える
仙丈や 甲斐駒や 鳳凰や 間ノ岳や
木曽駒や 空木や 穂高や 槍や
八ヶ岳や 富士山に
心を奪われる

神様はいるんだと思った

 

   2001/8/13 北岳山頂(その場で書いたもの)
       8/26 アヴァンセリーディング会

○○坊主

ほこりを洗い流した夕立のあとの
冷たい匂い
モノクロームの街は鮮明に生え
長く伸びた影を浮き立たせる
すべての音を一時的に遮断した雨は
静けさで世論を落ち着かせる

雨のあとの湿った匂い

坊主頭の○○くん
ときどき てるてる坊主を逆さに吊す
生ぬるい風が頭をなでる
ほほを伝うのは涙ではなく雨だと言う
塩分濃度が高いのは海水が降ってきたせい?
それとも ぼくのせい?

坊主頭のてるてる坊主
ときどき ○○くんを逆さに吊す

今日も雨は降るのだろうか?

 

   2001/8/11 ポエトリーリーディングの夕べ(テーマ:坊主/20字20行以内)
    * ○○には「杉山」を入れ、タイトルは最後に読む。

夏の日

夏を告げるセミの不協和音

クワガタとカブトムシは
今場所の取組を決めている

背伸びするヒマワリ
太陽を追い越すチャンスはそう遠くない

ジリジリと焼ける石ころも
はじける水しぶきも
サワガニには関係ない

跳ねるピンク
ダンスするヤマメたち
カゲロウの時間には まだ少し早い

ヤマセミの飛行はいつもアクロバットで
観客を魅了する

青空では
ヒツジが行進している

川ガキも 山ガキも
時間を越えて存在する

夏を告げる子どもたちの不協和音

 

   2001/7/28 アヴァンセリーディング会(吉野・奥越部「安産の滝」近くにて)

くつひも

夏の日差しを和らげる 木々の間を抜け
身体の力を和らげる 腐葉土の上を歩く
蝉の鳴き声が一層激しくなり
ぼくの鼓動も激しく波打つ
君はいるのだろうか
昔のままで いるのだろうか

塗装の剥げたアーチ型の門をくぐると 芝生の庭が広がる
大きな桜の木が一本 青空に 枝が広がる
その下には 丸いテーブルが 1つ、椅子が 2つ、ティーポットが 1つ
飲みかけの ティーカップが 2つ、シュガーポットが 1つ、スプーンが 2つ
花のない花瓶が 1つ
君はここにいるのだろうか
ぼくを必要として いるのだろうか

学校の裏にある小川は 昔と同じように流れていた
少し 小さくなって流れていた
扉も、くつ箱も、廊下も、教室も、黒板も、机も、椅子も、ロッカーも、
今週の目標も
少し 小さくなった気がした
時間だけが流れている気がした
君はいるのだろうか
ぼくも いるのだろうか

青空はどこまでも続いているようでいて
君のところまでも続いていない
時間はいつまでも流れているようでいて
ぼくのところで よどんでいる
ただ 足跡を頼りに 君を追いかける

夏の日差しに響くくつ音は
背中に届くまなざしを避ける
君はくつひもを気にしてる
ほどける速度を苦にしてる
あと少し もう少し まだ少し
ほんの少し
手が届きそうで届かない
指が触れそうで触れない
爪を弾きそうで弾けない

君はいるのだろうか
昔のままでいるのだろうか
君はここにいるのだろうか
ぼくを必要として いるのだろうか

ほどけたくつひもは
羽ばたきながら 空を回転する
からすのように かえるのように
振り子のように ペダルのように
浮遊する
くつとともに
浮遊する
足とともに
浮遊する
身体とともに
浮遊する
浮遊する

君は大地を踏みしめて立ち止まり
くつひもを結び直すと
振り返ることもなく
また 走りはじめた

 

   2001/7/15 声帯エステティック03(フリーマイク)