映画館から出てきた僕に声をかけてきたのは光雄だった。
「全然変わってないな」とお互いに言葉をかけ、暫くの間思い出話を交わしていた。
光雄とは高校を卒業以来会っていなかった。同じクラスではあったが、仲がいいと言うほどでもなかった。
別れ際「同窓会をしよう」と光雄が言った。「そうだな」と軽く考えていたら「組長が仕切るんだよ」と言われた。
僕は三年四組の組長だった。
学級委員、クラス委員、或いは室長と他のクラスでは呼ばれていた。何故かうちのクラスだけは組長という呼び方だった。
卒業アルバムを広げると、その頃のことをいろいろと思い出した。そして何人かに電話を掛けてみた。結婚している奴、家を出ている者、などいた。皆、同窓会には賛成だった。
僕は皆からの返事を待つことにした。
「あっ、慶一。本当に久しぶり。家にいないって聞いてたから、どうしてるのかと思ってた。今、どこ? 上海! 仕事で? そうなのか。じゃあ直ぐに帰ってくるなんてできないよな? そうだよな。 残念だな。ずっと上海にいるのか? えっ、来年には帰ってくるのか。そうか。楽しみはその時まで。うん。取っておくことにするよ」
「やあ、忠志。久しぶり。えーっ、オーストラリア。今? 仕事? ワーキングホリデー。そうか、すごいな。あれっ、前してた仕事は? 直ぐ辞めてたの? 何だ、そうだったのか。で、いつまでするの? ワーキングホリデー。 決めてない? そうなのか。早く帰ってこいよ。会いたいから。うん。色々話を聞かせてよ。お土産も楽しみにしてるから」
僕は直美からの連絡を待っていた。
彼女は副組長で、いつも僕の隣りに居てくれた。頭が良く、行動力のある人だった。
僕は直美が好きだった。でも、何も言わなかった。近くにいるだけで良かった。
「直美? 本当に? イギリスに留学してるって聞いてたから。すごいよね。うん。働いて、お金貯めて、留学。なかなかのもんだよ。変わってないね。いつからイギリスに? もう一年になるのか。じゃあ、英語はバッチリ。 イギリスに行くことがあったら通訳を頼むよ。えっ、来週? 来週には帰ってくるの? 良かった。楽しみだよ。いろんな話聞きたいし、色々したい話もあるから。
早く会いたいよ」
「わたしも」
2008年12月14日日曜日
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