2008年12月14日日曜日

くつひも

夏の日差しを和らげる 木々の間を抜け
身体の力を和らげる 腐葉土の上を歩く
蝉の鳴き声が一層激しくなり
ぼくの鼓動も激しく波打つ
君はいるのだろうか
昔のままで いるのだろうか

塗装の剥げたアーチ型の門をくぐると 芝生の庭が広がる
大きな桜の木が一本 青空に 枝が広がる
その下には 丸いテーブルが 1つ、椅子が 2つ、ティーポットが 1つ
飲みかけの ティーカップが 2つ、シュガーポットが 1つ、スプーンが 2つ
花のない花瓶が 1つ
君はここにいるのだろうか
ぼくを必要として いるのだろうか

学校の裏にある小川は 昔と同じように流れていた
少し 小さくなって流れていた
扉も、くつ箱も、廊下も、教室も、黒板も、机も、椅子も、ロッカーも、
今週の目標も
少し 小さくなった気がした
時間だけが流れている気がした
君はいるのだろうか
ぼくも いるのだろうか

青空はどこまでも続いているようでいて
君のところまでも続いていない
時間はいつまでも流れているようでいて
ぼくのところで よどんでいる
ただ 足跡を頼りに 君を追いかける

夏の日差しに響くくつ音は
背中に届くまなざしを避ける
君はくつひもを気にしてる
ほどける速度を苦にしてる
あと少し もう少し まだ少し
ほんの少し
手が届きそうで届かない
指が触れそうで触れない
爪を弾きそうで弾けない

君はいるのだろうか
昔のままでいるのだろうか
君はここにいるのだろうか
ぼくを必要として いるのだろうか

ほどけたくつひもは
羽ばたきながら 空を回転する
からすのように かえるのように
振り子のように ペダルのように
浮遊する
くつとともに
浮遊する
足とともに
浮遊する
身体とともに
浮遊する
浮遊する

君は大地を踏みしめて立ち止まり
くつひもを結び直すと
振り返ることもなく
また 走りはじめた

 

   2001/7/15 声帯エステティック03(フリーマイク)

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