2008年12月14日日曜日

くわい

冷たい雨が頬を打つ 京都は哲学の道で
握りしめていた掌の中の くわいが転がる

少し嘘を付きました
ひとりでいるのは 楽なんだからじゃありません
少し嘘を付きました
寄り道したわけでもないんです

地図を見ていたぼくに 声をかけてくれたお巡りさんは
たぶん ぼくより若いのだろうけど
子供に道を教えるのと同じように ていねいに 丁寧に説明してくれた
もう一度その場所を通ったときには お巡りさんはいませんでした
掌の中で くわいが転がる

少し嘘を付きました
行きたい場所はそこじゃなかったんです
少し嘘を付きました
バスに乗る気分でもなかったんです

まだ日が落ちるのが早いこの街に
暖かい風は吹きません
ただ冷たい月が見ているだけで
夜明けにはまだまだ時間があるようです
月はチーズで出来てると 誰かが言ってたけど
ぼくには確認することなんて出来ません
どちらかといえば
まだキャベツのほうが似合ってると思うんです

頬を打つ雨は冷たくて
ぼくのポケットの中で くわいが転がる
闇を裂く月は冷たくて
ぼくのポケットの中の くわいが転がる

 

   2002/2/3 「詩の時間」シタゴコロプロジェクト@ワークショップ

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