2015年3月25日水曜日

「スタート」


風はまだ少し冷たいが、日差しは温かく、心地いい
緑が映える景色には、新しく踏み出す一歩がふさわしい

みんなが一斉にスタートを切る

頼んでもいないのにスタートラインに立たされ、背中を押される
人の波に流されながら、どんどん進んでしまう
どこへ向かうのかも分からないまま
もまれて、踏まれて、染められて、流されて
ゴールはあるのだろうか?

みんなが一斉にスタートを切る

最初からトップスピードで飛び出すのか
様子をうかがいながら、第2集団を走るのか
後方から眺めるのか
作戦は重要
駆け引きが大事

みんなが一斉にスタートを切る

それぞれのゴールが違うということを、
いったいどれくらいの人が分かっているのだろう
「ずっと一緒だよ」は、まやかし
「またね」は、嘘
「大好き」は、罪

「全然勉強してない」
というテスト前の台詞には、必ず裏がある
点数が悪かった時のための予防線
周りを油断させるための作戦
万が一のための処方箋
火を消すつもりの消火栓
なるつもりも無い海千山千
大船に乗ったつもりの豪華客船

「全然変わらないね」
というのもまた同じ

みんなが一斉にスタートを切る

果たして、一斉にスタートを切る必要さえあるのだろうか

新しい息吹を感じる季節の中
誰かの付属品ではない、自分の
主演舞台の第一幕
開演はこれから
始まる



2015年3月22日日曜日